『坂の途中の家』を読んで ~感情移入度100%は本当だった~
きっかけはやはり、王様のブランチ
私の本の探し方トップ3。
その①:本屋をブラブラ
その②:人から紹介される
その③:「王様のブランチ」を見る
ブランチの紹介の仕方は、うまいこと興味をもたせられる。
あの時も、まんまと目を奪われた。
これ。
ブランチでの放送は1月くらいで、2月くらいに買って、やっと最近読んだとこ。
普段はあまり読まないテーマだけど、すごく気になって思わず単行本で購入。
単行本って、やっぱいいなあ。
裁判員裁判という重いテーマ
主人公の里沙子は、平凡な生活のなか、突然裁判員の補欠に選ばれた。
その内容は「乳幼児虐待死事件」。
被告人の女性は、幼いわが子を水を張った浴槽に落とし、殺してしまった。
なぜそこまで追い詰められたのか、なぜ殺さなければならなかったのかー。
小さな子供を持つ里沙子は、裁判に関わるうちに被告人と自分を重ね、日常生活の違和感に気付かされていく。
これだけ聞くと、すごく重たい印象だけど、、
この本、誰しもが抱いているであろう、不快感や悲しみや寂しさを刺激してくる。
裁判員なんて、全く自分に関係ない。
そう思っている人も多いんじゃないだろうか。
でもこうやって、普段の生活の中に有無を言わさず入ってくるらしい。
けっこうびっくりしたのが、その拘束時間。
毎日、朝から裁判所に行き、一日かけて裁判と議論を繰り返し、結論を出す。
10日間、毎日、、。これはなかなかの仕事だと思う。
感情移入度100%の実態
私が最も驚いたのが、里沙子が感じることを、私も同時に感じてしまっているということ。
うまく表現できないけど、
「えっ、そうそう、私もそう思うんだけど」
みたいな感じ。
「こうじゃないの?」って思うと、里沙子も同じことを思う。
被告人=里沙子=自分。
そんな方程式が成り立っていく。
誰かの一言が、深く胸に突き刺さったり。
なんてことのない行動が、人に誤解を与えたり。
説明しようとすると、言い訳くさくなったり。
自分はおかしいんじゃないかと、不安になったり。
自分が愛されているのか、分からなくなったり。
そんな不安定な状態を解説してくれるかのような、この本。
そんな状態の人にこそ、読んで欲しい本。
元気いっぱい、充実している人には、なんとも思われない本。
不思議な本。
少しでも惹かれた人は、ぜひ読んでみて欲しい。
きっと共感できる部分がある。
ゆい